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寒冷地ガーデニングで本当に植えるべき植物10選

目次

🪴はじめに:寒冷地の庭づくり、どう始めればいい?

  • 北海道や長野、東北など、冬の寒さがちょっぴり手ごわい地域での庭づくり。
  • 「何を植えたら冬を越せるの?」「雪がたくさん積もるけど大丈夫?」
  • そんな不安や疑問、ありますよね。でも大丈夫。寒冷地には寒冷地ならではの“庭の楽しみ方”があるんです。
  • 実は、雪や寒さって植物たちにとっても悪いことばかりじゃありません。
  • 雪は、ふわふわの布団みたいに地面を包みこみ、土や根っこをやさしく守ってくれる心強い存在。
  • 寒さに負けない植物を選んで、ちょっとした工夫をすれば、春に向けてワクワクするような庭づくりが始められます。
  • このページでは、「寒冷地でも大丈夫!」「庭ってこんなに楽しいんだ!」と思えるような、
  • 庭づくりのはじめ方と、冬を越すためのコツをご紹介していきます。

🌲Part1|寒冷地におすすめの庭木・下草10選

和名学名植えた方が良い理由耐寒性の特徴庭での利用例土壌条件日当たり条件
シラカバBetula platyphylla寒冷地の象徴。明るく美しい幹肌樹皮の断熱効果/糖分で凍結を抑えるシンボルツリー酸性土、水はけ良好日向
ナナカマドSorbus commixta実と紅葉で季節を楽しめる糖濃度調整/細枝で雪に強い実の楽しめる庭木やや湿った土日向
アオダモFraxinus lanuginosa雑木風庭園に最適/枝が柔らかいしなる枝/長期休眠で耐寒性向上雑木植栽肥沃な土日向〜半日陰
ヤマボウシCornus kousa花・実・冬芽が楽しめる万能種芽鱗の断熱/根が深く凍結層回避花木・庭木弱酸性〜中性日向〜半日陰
ドウダンツツジEnkianthus perulatus紅葉と樹形が美しい低木細枝で寒風カット/積雪下で越冬生垣・縁取り酸性土日向
シャクナゲRhododendron spp.常緑で冬も景観を保てる葉巻き現象/浅根と雪で保温シェードガーデン酸性・腐植土半日陰
ヤマアジサイHydrangea serrata涼感ある半日陰の庭にぴったり茎の膨圧制御/冬芽保護林床・彩りの庭腐植質で保水性あり半日陰
カラマツLarix kaempferi明るく開放感ある落葉針葉樹落葉で省エネ/樹皮が断熱層林縁・外周植栽やや乾いた酸性土日向
エゾノコリンゴMalus baccata花も実も美しい寒冷地原産種糖アルコールで凍結防止/深根雑木・果樹風庭園通気性ある土壌日向
ミヤマアジサイHydrangea serrata var. acuminata山間の涼地に適応。夏も映える水分管理/冬は完全休眠和風庭園・下草保水性ある腐植土半日陰

🔬Part2|植物たちはなぜ寒さに強いのか?

寒い地方で庭づくりをしていると、ふと不思議に思うことがあります。
「こんなに雪が積もってるのに、どうして春になるとちゃんと芽吹くんだろう?」と。

実は植物たちは、寒さにじっと耐えるために5つの工夫“生き抜く知恵”を持っているんです。

~ 寒冷地植物が寒さを乗り越える5つの戦略~

✅ ① 甘くして凍らないようにする(寒さから体の中を守る)

植物の体の中には水分がたっぷり。でも冬の寒さで凍ってしまったら中から壊れてしまいます。
そこで植物たちは、自分の体の中に“自然の甘み”を増やして、水が凍りにくいようにしているんです。

たとえばナナカマドやリンゴの仲間は、細胞の中に糖分をためて“凍らない工夫”をしています。


✅ ② 体を着ぶくれさせて、寒さから守る(断熱の知恵)

寒くなると私たちも重ね着しますよね?植物たちも同じで、芽や幹に“防寒の着ぐるみ”のようなものを着ています。

・つぼみのまわりを何層もの「うろこ状の葉」で包み込んでいたり
・幹の表面がコルクのように厚くなっていたり

たとえばヤマボウシやドウダンツツジの冬芽は、その姿はまるで“マトリョーシカ”の様です。


✅ ③ 葉っぱを丸めたり落としたりして、無理にがんばらない

寒い風にずっとさらされていたら、私たちでも乾いてしまいますよね。
植物も同じで、風や霜で体の水分を奪われないように、自分を守る工夫をします。

・シャクナゲの葉っぱは、寒くなると内側にクルッと巻いて水分が逃げないようにします。
・シラカバやナナカマドは、冬になる前に葉っぱをぜんぶ落として、眠る準備を始めます。

人間でいえば、体をぎゅっと縮めて、冬眠のポーズをとるようなイメージですね。(笑)


✅ ④ 土の中でじっと待つ(地面の中はあたたかい)

寒い地域では、上の方に出ている枝や葉がダメージを受けやすいです。
でも、地面の中まではカチカチに凍らないので、植物たちは土の中の“ぬくぬく空間”で冬を過ごすことが多いです。

たとえばアジサイや山野草の仲間は、上の部分が枯れて見えても、根っこや地下茎に力をためて、春にまた元気に芽を出します。

✅ ⑤ 春までじっと眠るスイッチがある

植物たちは、季節の変化をちゃんと感じています。
寒くなると「そろそろ寝る時間だな」と感じて、体の中に“おやすみスイッチ”を入れるんです。

このスイッチが入ると、成長をやめて、栄養を使わずに静かに春を待つモードに入ります。
そして、日差しが強くなって「春だ!」と気づくと、そのスイッチが切れて一気に動き出します。

🌱植物は、がんばらずに“冬をうまくやり過ごす”名人

寒冷地の植物たちは、寒さと戦っているわけではありません。
無理にがんばらず、じっと静かに春を待つことで、自分の命を守っているのです。

この「身を守る知恵」は、私たちの暮らしにも通じるものがありますね。

❄️寒い季節の庭に立つと、
見えないところで“春を迎える準備”をしている植物たちの姿が、少しだけ感じられるようになります。

それぞれの植物が複数の戦略を組み合わせることで、寒冷地でも春を迎える準備をしています。

🏡Part3|寒冷地ガーデン設計のポイントまとめ

冬を味方にする4つの基本設計と実践例

積雪=保温材:雪の下で守られる植物たち


寒冷地に住んでいると、雪は「寒くて厄介なもの」と思われがちです。
ですが、実は植物にとって雪は“布団”のようなもの
たとえば、シャクナゲミヤマアジサイなどは、雪が積もっている間のほうがむしろ安全に越冬できます。

🌿具体例:

  • シャクナゲの葉は、寒風にさらされるとクルッと丸まり、自らを守ろうとします。でも積雪下では、蒸散を防ぎながら暖かく守られるため、葉の丸まりが少なく済みます。
  • ヤマアジサイやミヤマアジサイは、根元から雪で完全に覆われることで、春にダメージなく芽吹きやすくなります。

🛠ポイント:

  • 積雪が多い地域では草丈が30〜60cmほどの落葉低木や宿根草が越冬に向いています。
  • 積雪が少ない場所では常緑性で葉を巻く性質の植物を選ぶとよいです(例:ツバキの寒冷地種など)。

根元を守る:マルチングや落葉を味方にする

根元を守る:マルチングや落葉を味方にする

地中の温度が−5℃以下になると、植物の根は大きなダメージを受けます
そのため、植物の“足元を温める”ことが寒冷地ガーデニングのキモです。

🌿具体例:

  • 私の現場では、秋に落ちたナラの葉やカラマツの落ち葉を集めて、ドウダンツツジやヤマボウシの株元に敷いておきます。これは春まで片付けません。
  • また、バークチップ(ウッドチップ)や腐葉土を株元に厚めに敷くことで、土の凍結深度を浅く抑える効果もあります。

🛠おすすめ素材:

  • ウッドチップ(防腐処理されていないもの)
  • 腐葉土
  • 刈った芝・落ち葉・もみ殻くん炭(乾燥性重視)

✏️使い方の目安:

  • 厚さ:5〜10cm程度
  • 敷くタイミング:11月下旬〜12月上旬(地面が凍る前)

風除けになる植栽:ドウダンツツジは“寒風の盾”

寒冷地で植物が弱るのは、実は「寒さ」よりも「風」が原因であることが多いです。
風は水分を一気に奪い、枝や冬芽に物理的なダメージを与えます。
そこで活躍するのが、低木や常緑灌木による“風の壁”づくりです。

🌿具体例:

  • ドウダンツツジは枝が細かく密で、風の勢いをやさしく受け止めてくれる低木。雪にも強く、剪定にも耐えます。
  • 他にも、ツゲ類(ニッコウヒバなど)を建物の北西側や斜面の上部に植えると、冷風をブロックしながら庭全体の温度低下を抑えてくれます。

🛠配置の工夫:

  • 主木(アオダモやヤマボウシ)を守るように、風上側に低木を配置
  • 雪の吹き溜まりや凍害を受けやすい方角(北西)に生垣や常緑低木を設ける

“冬芽と枝”も景色に:落葉後の庭が本番です

「冬は葉がなくて寂しい」と思う方が多いですが、
寒冷地の庭では、むしろ“枝ぶり”や“実”“幹肌”が主役になります

🌿おすすめ植物:

  • ナナカマド:葉が落ちても、真っ赤な実が雪の中で映える。鳥も来る。
  • シラカバ:白い樹皮が青空にも曇り空にも映える、冬の景色を明るくする木
  • アオダモ:落葉後のしなやかな枝ぶりと淡い幹色が雪に映える。
  • ドウダンツツジ:落葉後の小枝の密なシルエットが庭の輪郭をつくってくれる。

🛠ポイント:

  • 「葉がない=終わり」ではなく、「枝で魅せる=冬の景色」へと発想転換
  • 冬芽の観察も楽しい(例:ヤマボウシの冬芽は小さな弓道の的のよう)

🍃まとめ:冬の庭は、“静かな命”が主役です

雪にすっぽり覆われた庭。
一見すると何も起きていないように見えるその静けさの中で、植物たちはちゃんと春への準備を進めています。

寒冷地の庭づくりは、目に見えない営みを感じ取る「観察の庭」
寒さから“守ること”と、自然の力を“活かすこと”。
その両方を大切にしながら庭と向き合えば、やがて春、静かに、でも力強く芽吹いてくれる姿に出会えるはずです。

静かな冬の庭には、小さな命の約束がひっそりと息づいています。
それに気づけたとき、庭はただの空間ではなく、心を耕す場所になっていくはずです。

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